丸山リハビリテーション診療所 新潟漢方研究所

2009年の「丸山所長の今月のメッセージ」

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2009年1月

シリーズ4 医の話(その13) 医とメディア

 当診療所に定期通院されている患者さんが「○○列島」という映画を見たそうだ。そして診療中の会話。「先生、ウイルスって恐いですね。映画みたいにバタバタと倒れてしまうこと、現実に起きるんでしょうか?」「映画見てないから、わからないけど…。この日本で普通に生活している人がバタバタ倒れて死んでしまうウイルス感染は起こらないと思うよ、たぶん。」また別の患者さんもTVの特別番組「ウイルスの驚異(?)」というシミュレーション場面で、通勤中の人々が倒れ込んでいくのを見て、同じような質問を投げかけて来た。
 毎年、冬には老人施設等で何人もの高齢者がインフルエンザで亡くなっている。しかし、それはウイルスの殺傷力が強くなった為でなく、人間の側の免疫力低下や活性酵素の処理機能の不全、および脱水等による自然治癒力の低下などが根底にあり、残念ながらお亡くなりになるのである。例えば私が今流行中の「ソ連A型」インフルエンザに罹患したとしても決して死ぬことはない。しかし30年後(86歳)の私であるなら、死ぬ確率は30%位であろうと思う。
 そもそもウイルスに対する見方は一般的に定着していない為、個々人の持つイメージは情報によって簡単に塗り変えられてしまうのである。考えるに、中学校の保健の授業で基本となる知識を提供してさえいれば、ここまでホンロウされることはないと思う。しかしながら医学部教育に於いても「ウイルス学」という講義はあるが、コマ数が少なくほんの一握りの表層的知識が得られるのみであり、ましてや臨床系では肝炎、AIDS、インフルエンザというメジャーなウイルスについてちょっと勉強するだけなのである。実際、医者というものは国試を通って医師免許を持ってからが大変なのである。どれだけ不断の勉強を続けているか?で力量に差がついてくる。
 1980年に天然痘根絶が宣言された。人類とウイルス感染というテーマは、一時「ワクチンと血清によって人類の勝ち!」と安堵を得たかのように見えた。しかしながら、その后AIDSやらSARSやら鳥インフルエンザやら、色々とウイルス達は話題を提供してくれる。また、80年代半ば以降の15年余りで新しく発見されたウイルスは60種以上と言われている。さて、人間に感染するウイルスは大きく分けて2種類ある。ヒトヘルペスウイルスを代表とする潜在性ウイルスと、インフルエンザウイルスを代表とする外来性ウイルスである。これらウイルス達については次回のメッセージでバイオセーフティー、レベル4(最も危険)の情報も入れて私の知見を述べたいと思う。
 以上のようなウイルスについての基本的知識を持って映画やTV番組が作られているとは思えない。通常、情報媒体は時代考証や医療考証を行う為の鑑修役という人を準備するのが建前である。フィクションなのかノンフィクションなのか?ある程度の根拠と起こり得る確率などを曖昧にさせたまま、風邪が流行る時期に合わせて、いたずらに恐怖心をあおっているように思えてならない(不安を募らせる番組は視聴率が上がるそうだ)。そこで、これらメディアが作り出す情報の背景で医療考証役を医者が担当していたとすれば、その医者は「不安や恐怖心が人体に、しかも免疫力に悪い影響を与える」ということを知らない無能な輩か、または知っているならば倫理的に医者としてあるまじき無責任な判断をしていると言いたい。

2009年2月

シリーズ4 医の話(その14) 医のあり方—ヒトと自然(1)

 私達の住む地球は沢山の生命を育んでいる星だ。恐らく太陽系が属している天の川銀河の中でもダントツのDNA博物館であると思う。多種多様な存在達が、その種のままに生きる為には調和と共生が必要となる。ヒト以外は、その生存の仕方を通して私達ヒトに知恵を提供してくれる。自然との共生、そして変異、そして絶滅と。ヒトは… 「自由意志」の名の下でやりたい放題をくり返してきた。人間が変えてきた自然の姿。幾多の種が絶滅に追いやられ、大気も海も土壌も変化し、日常的に異常な気温変化や天候を私達は体験している。
 確かに、地球の歴史の中では著しい変化が休むことなく続いている。さて,太古の時代、地殻が安定するまでには殆どが無機物だけの世界で、マグマが冷え、ミネラル豊富な水(海水)が徐々に増え、熱気残る大気と地球の自転による渦に雲が出来て雨となっていた。大きな水星が何度も降り注ぎ、海面は地球全土を覆う程になった(のかも?)。地球は冷えつつあって、大陸プレートが形成され地殻内部では浮き草のような押し合いへし合いが生じ、応力による隆起が始まった。古典的逸話によると、最初に海面に現れた大地はアフリカのタンザニアにあるメル山(Mt.Meru)であるとのこと。
 火と風と水と土(映画「フィフスエレメント(5つの要素)」で、もう1つは愛)達が創り上げてきた自然は気の遠くなりそうな、そしてゆったりとした時の流れで形成されてきたものだ。その自然の中でアミノ酸、DNA、藻類、菌類…ウイルス、バクテリア…割愛…ヒトが創造されてきた。生命達は環境の変化に応じ、そしてありとあらゆる可能性を模索するかの如く、変異と進化をくり返し、共生と調和の術を駆使してきたのである。
 ところで、ウイルス達はいつから地球上に棲息しているのだろう。確かな説は無い。しかしウイルス達はホスト(宿主)がいないと存続できない。したがって、自分の複製を作るためのDNA、RNAを持つ真核生物が必要となる。酸素を放出してくれたシアノバクテリアは原核生物であり、私達人間は真核生物の一種である。真核生物の登場は恐らく26億年前だと思う。〈27億年前の頁岩(けつがん)から、真核生物のものと思われる有機物が見つかっている〉人類の登場は? 色々な説があるが、私は1750万年前だと思っている。  (つづく)

2009年3月

シリーズ4 医の話(その14) 医のあり方—ヒトと自然(2)

 生物学の中で、細菌は1674年レーウェンフックが見いだした。1876年コッホが病原性細菌の意義を明確にした。ウイルスについては1892年「タバコモザイク病」の原因が細菌より小さい病原体で光学顕微鏡では観察できないことをロシアのイワノフスキーが示した。それがウイルス研究の発端となった「タバコモザイクウイルス」であった。
 ウイルスは生物か非生物か?という議論は続いている。細胞構造を持たないから非生物と一応合意されているが、私は生物の範疇に入れている。だって核酸を持って回りに蛋白質(アミノ酸)をまとって、偶然出会った細胞の特異的レセプターに付着して、細胞の中に入って服を脱ぎ捨てて、ちゃっかりそこにある材料を使って自分と同じものをどんどん作るという、能動的な存在手法を持っているのだから。
 と言っても、ウイルスも色々な種類があって、細菌に感染するバクテリオファージや植物を宿主とするウイルスなど、分類すると非常に沢山あり、その形態も数nmから数百nmと大きさも機能も多岐に渡るのである。(興味のある方はネットで検索して下さい。)
 そんなウイルスの始まりはこの地球の生物史では定かではない。20〜25億年前と思うが、もっと古く核酸やアミノ酸が登場した時代に、原初の形態は偶然生じていたであろうと思われる。ただ、宿主となる古細菌や原核・真核生物の変異に追従できず、また宿主細胞を死に至らしめた為に存続できなかったウイルスなども含めると相当な数に及び、始まりを定義することは難しいと思う。そして調和と共生を可能にした分子構造のみが絶滅を免れたのである。
 私達人間社会ではウイルスと言うとすぐ不快な病気と結びつけていく。確かに風邪症状や免疫不全、肝炎や癌の原因となるウイルス達が居る。実験室等での扱いを定めたバイオセーフティレベルは4段階に分けられており、インフルエンザはレベル2、また致死率の高いバイオセーフティレベル4のウイルスは、エボラ出血熱やラッサ熱という風土病など全19種類定められている。
ちなみにエボラ出血熱ウイルス研究の第一人者は日本人の獣医師の方です。アフリカの鬱蒼とする原生林の中でスタッフと共に、何とかセーフティレベルを保ちながらコウモリを解剖している姿をTVで見て”果たして私にできるか?その勇気を持っているか?そこまでウイルスを含め自然界を熟知しているか?…?”私の自問自答は深かったのでした。
 自然の営みの中で偶然と必然がくり返されて今がある。それらの歴史から自然の摂理を学ぶことができる。ヒトは胎児や乳幼児の時期には免疫が未発達であり、母体の免疫力や母乳に含まれる抗体により、ある程度の抵抗力を備えているが、ヒトヘルペスウイルスのような誰もが潜在的に持っているウイルスが感染し、住みつくのである。ヒトの身体には沢山の微生物が住んでいる。常在菌とか潜在性ウイルスとか呼ばれている。口の中にはフローラ達、腸の中には細菌叢、皮膚にも常在菌が居て守ってくれている。神経系にはヘルペス達が住んでいる。彼等はヒトが健康である時には何ら警告を発しない。異常事態で歯肉炎とか口内炎、下痢とか帯状疱疹という症状が出現する。「ちょっと!見直して下さい」「何かバランスが悪いですよ」「今の生活習慣はあなたを不健康にしますよ」…そんなメッセージを送り続けてくれる。そして彼等はヒトが死ぬ時、共に死んでいく。   (つづく)

2009年4月

タイムリーにH1N1ウイルスが登場しています。豚インフルエンザに関する動行を見据えるため、4月はお休みします。

2009年5月

今月は忙しいのでお休みします。

2009年6月

 4月25日から厚労省発信のFaxは随時沢山届き90枚になり、ようやく豚インフルエンザに感染された方に対する法的拘束が緩和された。発熱などの強い臨床症状の無い方は自宅療養せよ!とのこと…。熱があろうが無かろうがウイルスは感染しているし、他の人に感染する訳だし。症状で差をつける意味が理解できない。症状とは各自の免疫応答の強さやタイプによって異なるものなのだ。厚労省の役人は医学・ウイルス学の専門家に相談していないということだ。今後も愚かなFaxが届くと思うので、様子を見させて下さい。

2009年7月

   今年は7月が終ろうというのに梅雨前線動かず、豪雨やら竜巻やら異常気象が続いている。日本の気候は温帯から亜熱帯に変わったように思える。そして当院では梅雨時にも拘らず風邪の患者さんが年々増加するという事態が続いている。つまり免疫が弱く、ウイルスに感染され易い人が増えているということだ。
 ストレスや社会不安等が蔓延している。現在の日本の状況下では、穏やかな気楽な心持ちで日々を過ごすのは難しいように思う。自律神経の交感神経が亢進している場合、免疫が弱ってしまう。ストレス逃避の手段として過食や甘い物を摂ることが日常的になり、結果として過栄養となり、さらに免疫を弱くしてしまう。悪循環が続き、いつか病気を発症してしまう。
 「何とかなるさ」 「きっと大丈夫」 「自分は特別」 なんて言わせない。食べ過ぎ、運動不足はヒトという生物にとって致命的な状態であると認識しなければならない。昨年の春からメタボリックの方々への健診、保健指導が義務化されたが、最近の調査によると約3割の方が「生活習慣を変える気などサラサラ無い」とのこと…。
 心臓や腎臓に問題のない方の場合ですが、私は提案します。副交感神経を働かせる為に、朝起きてから夕食までの間15分位に1度、3回の深呼吸をやってみましょう。そしてその後で50〜60ml位の水(コップ1/3位)を飲んでみて下さい。

2009年8月

今月はお休みします。

2009年9月

 メッセージは今月も忙しくてお休みです。ここ数年来、私は手間のかかる仕事に携わっています。ある患者さんが、国を訴えて裁判中なのですが、前の主治医が勝ち目が無い為か、あまりに長期間の厄介な仕事が続くためか、立場上具合が悪いのか?裁判の証人を引き受けなかったのです。
 私は平成13年からその患者さんの主治医なので、やるしかありません。AIDSやC型肝炎と同じように患者さんの人権を守るため、医のあり方を問うため、そして役人の不正を糾弾するために、たった一人で証人となり意見書作成をしています。
 来月はメッセージ復活できると思います。

2009年10月

10月はメッセージ復活不能でした。ごめんなさい。
次はがんばります。

2009年11月

このページにうかつな事はかけない?

 11月初めに「新型インフルエンザの予防接種もせず、タミフルも処方しないで患者が重篤な状態になったならば…」(おどし)という情報が私の所に届いた。当診療所では、いかなる予防接種も施行しないし、タミフル・リレンザも処方しない。しかし本年6月5日から新型インフルエンザ(豚由来)の患者さんは毎日来ているが、重篤な方は1人も出ていない。データを蓄積しているが75%の方は症状も殆どない。39℃代までの発熱の方は200人に1人位なのである。
 それが事実なのです。そして、どーいう処罰が待っているのだろうか? 今、私はその情報の出所と真偽を確かめている最中です。

2009年12月

 今年も早っ! 年の瀬となりました。春に当診療所のスタッフにホームページを自分たちで更新するよう指示を出しました。期間は半年。日常業務の合間を縫って皆で作成に取り組み、現在のコンピューターやネット、他ソフトに慣れてもらいたいと考え、またこの診療所の凄さや良い所を最も理解しているのがスタッフ達だからと思ってのことです。「半年やって無理なら業者に委託するよ」ということでスタートしました。
 6人が集まって「あーでもない」「こーでもない」「そりゃムリでしょ!」等々のやりとりを私はニヤニヤしながら聞いていた訳です。期限の10月に仕上がらず、どーしたものかと考え、ならばあと2ヶ月! 私の誕生日プレゼントにして頂戴とプレッシャーをかけ、様子を見ました。12月24日の夜、私の最終チェックが入り、合格! 間に合ったのでした。よー頑張ったスタッフ達。また一つ成長してくれたと私は喜んでいるのです。
 試練がなければヒトは怠惰になってしまう。今年1年、何か達成できましたか? 何か一つでも納得できることがありましたか? 残ったお荷物は来年、片付けることにしようよ。
 良いお年をお迎えください。


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