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この度の震災に関連して想うこと(4) - 無知、そして差別

この度の震災に関連して想うこと(4) - 無知、そして差別

第4弾は復興の為の財源や経済について書こうと思っていましたが、次回に延ばすことにしました。

昨夜のTVニュースで知ったのだが、つくば市役所の市民課であってはならないことが起きた。仙台市からの転入者を放射線スクリーニング証明書が無いために届け出を拒否したとのこと。

役所の窓口ではよくあることだが、福島の人と「勘違い」した対応だったと言い訳をしていた。

問題は勘違いをしたことではなくて、市民課の課長が国や県の指示があった訳でもなく、なぜ勝手に福島県民全員をスクリーニングの対象にしたのか?

ということだ。市長も承知の上となると、とんでもない自治体だ。その無知からくる根拠なき差別は非常に罪深いものであると私は考える。

3月下旬にある患者さんは「放射線って感染するんですか?」と私に聞いてきた。ウイルスや病原細菌は人体の中で増殖する為に他の人に感染する可能性があるのだが、放射線は伝染・感染はしない(放射能汚染という言葉があるので紛らわしいのだ)。

ウランやプルトニウムといった放射性物資を持ち歩いている人がいるなら、そばに居れば被爆してしまうが…。

例えば原発敷地内で100mSv/時を浴びた人が即刻、私の傍らに来ても「着換えましょう、シャワーを浴びましょう」と忠告するだけだ。実質的には体内にも放射性物質が入っている可能性はあるが、私はその人から逃げる必要はない。そして放射線が原因で癌ができてしまう確率が0.1%位あるから、定期的に検査を受けるように促すだろう。

しかし考えてみて欲しい。日本人の死因のトップは癌であり、全国では約20万人の人たちが癌やその合併症の加療を受けている。癌年齢と言われる40才以上(最近は若年者で有病率が上昇中だが…)を単純に考えて5000万人とする。20万人は0.4%となる。つまり乱暴な言い方をすれば、確率が0.4%から0.5%になったということなのだ。

また放射性物質が体内に入ってしまった場合、その人の体内では放射線が放出され、近隣の細胞にダメージを与える可能性がある。しかし殆んどの放射線は体外には出て行かない。人体を貫通する種類の線は最初から貫通するし、他の人をも貫通していくのだ。宇宙からもおびただしい量の放射線が地上に降り注いでいるが、私達の身体を通り過ぎていくものが多い。そして人体に影響を及ぼす可能性がある線量だけを合計すると年間1mSv位なのだ。食品などにも自然被爆があるので、口から入るものも含めて多く見積もると年間2mSv位になる。

さて、東電も保安院も、もっと詳しく放射性物質の割合と放射線の種類と量の分布を調べて公表して欲しいものだ。たまり水に足を入れたケースではβ線被爆と公表されたが、何種類かの放射線を浴びているはずだ。皮膚表面の火傷様損傷だけで済むとは思えない。医者としてあのお二人の足は今どうなっているのか知りたいところだ。

結局、私が考えるに、接している他者にも放射線被爆による健康被害を及ぼすような量と質の放射性物質を体内に取り込んでしまったヒトは残念ながら数日で亡くなられるか、余りに体調が悪くて入院しているか、どちらかだということだ。

ヨウ素131は半減期8日と短いし、セシウム137は人体への医学的影響はチェルノブイリで調査されたが一応「なし」と言われている。

日常を普通に過ごし、窓口に来た人に対して「放射線スクリーニングを保健所で受けて、問題ないという証明書を持ってこい」とは愚かしいことだ。そこまで被害妄想が強いなら、つくば市役所の市民課に放射線測定器を置き、元課長自らが測ればいい。そして問題ないことに気付くだろう。

風評とは恐ろしいものだ。余りに多くの人を傷付け、悲しませ、窮地に追い込んでしまう。私達日本人の歴史の中にも悲しい出来事はたくさんある。「差別」をその言葉の中に含んでいるものは南アフリカのアパルトヘイトだけではないのだ。

医学がまだ未熟だった為や知識が一般化していなかった為に

癩(ハンセン病)、原爆被爆者、肺結核…村八分や隔離、座敷牢…。

人間社会がまだ未熟な為、人類の同胞感が希薄な為に

部落、同和問題…人非人という言葉、人種差別…。

21世紀になっても同じことをくり返し、人を傷つけるのか?

これだけの情報社会にあって「無知でした」はもう通用しない。

そういう人は結局、根拠なき差別を生み出しているのだ。しかも自分自身の中で、自分を劣位に差別しているのだ。何て悲惨な人間形成に労を費やしているのだろう。ヒトは自分の生き方を自分で決めなければならない。

逆に言えば自分で決められる自由度を持っているのだ。自分を信頼できるようになるには、明確な目標に向けた努力が必要だ。そして責任を取る生き方をするには、思考と意図と言動を一貫させることが要件となる。

政府は福島県産のキュウリとイチゴを首相がメディアカメラの前で食べて見せた。それだけで安全をアピールし終えたと思っているなら幼稚だ。

大衆心理はそんなことでは変わらない。危機感や恐怖は1つの出来事で拡大していくが、信頼感や安心はその何十倍もの出来事や根拠を見ないと生まれてこないのだ。

日本政府は心理学全般の素養があり、日本人の特質や民俗の傾向を熟知している、かつてのルース・ベネディクトのような文化人類学者や、精神面での危機管理を専門とする医学者等々の人材との継がりを持っていないのか?

風評とも言える東電のあいまいな情報にホンロウされ、無知で「差別」を容認し続けているのは日本政府と省庁の官僚達なのではないか? もっと賢く誠実に、もっと一所懸命に政治の責任を果たして欲しいものだ。

しかし今までの仕組みでは処理できない問題が山積みなのだ。頭の堅い、保身第一主義の政治家や官僚は決して新しい発想を持てない。独立国家としての日本が本当に再生するには抜本的な構造改革が不可欠なのだ。

明治政府が創ったもの、戦後GHQが造ったもの、それらは今日本国民に不公平感をもたらし、国際的にも日本の果たすべき役割を限定し続けている。

もう古いのだ!

この未曾有の体験は現代日本社会の汚点や脆弱さ、悪しき慣習等々を白日の元にさらしてくれる。そこから反省と新しい立国の方向性が見えてくる。

今回、日本が変わらなければ、つまり国民1人1人が何かしらの意識変化と価値観の転換を起こさなければ、二度と日本は良い国に向かわないだろう。

有史以降、統治と支配の中で日本民族は本当の自分たちの国づくりというものをしたことがないのだ。

今、この危機が日本人らしい国づくりのできる初めてのチャンスなのだと思うのである。

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