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【医の話15】医のあり方—ヒトと自然(2)

【医の話15】医のあり方—ヒトと自然(2)

生物学の中で、細菌は1674年レーウェンフックが見いだした。1876年コッホが病原性細菌の意義を明確にした。ウイルスについては1892年「タバコモザイク病」の原因が細菌より小さい病原体で光学顕微鏡では観察できないことをロシアのイワノフスキーが示した。それがウイルス研究の発端となった「タバコモザイクウイルス」であった。

ウイルスは生物か非生物か?という議論は続いている。

細胞構造を持たないから非生物と一応合意されているが、私は生物の範疇に入れている。だって核酸を持って回りに蛋白質(アミノ酸)をまとって、偶然出会った細胞の特異的レセプターに付着して、細胞の中に入って服を脱ぎ捨てて、ちゃっかりそこにある材料を使って自分と同じものをどんどん作るという、能動的な存在手法を持っているのだから。

と言っても、ウイルスも色々な種類があって、細菌に感染するバクテリオファージや植物を宿主とするウイルスなど、分類すると非常に沢山あり、その形態も数nmから数百nmと大きさも機能も多岐に渡るのである。(興味のある方はネットで検索して下さい。)

そんなウイルスの始まりはこの地球の生物史では定かではない。

20〜25億年前と思うが、もっと古く核酸やアミノ酸が登場した時代に、原初の形態は偶然生じていたであろうと思われる。ただ、宿主となる古細菌や原核・真核生物の変異に追従できず、また宿主細胞を死に至らしめた為に存続できなかったウイルスなども含めると相当な数に及び、始まりを定義することは難しいと思う。そして調和と共生を可能にした分子構造のみが絶滅を免れたのである。

私達人間社会ではウイルスと言うとすぐ不快な病気と結びつけていく。確かに風邪症状や免疫不全、肝炎や癌の原因となるウイルス達が居る。実験室等での扱いを定めたバイオセーフティレベルは4段階に分けられており、インフルエンザはレベル2、また致死率の高いバイオセーフティレベル4のウイルスは、エボラ出血熱やラッサ熱という風土病など全19種類定められている。

ちなみにエボラ出血熱ウイルス研究の第一人者は日本人の獣医師の方です。アフリカの鬱蒼とする原生林の中でスタッフと共に、何とかセーフティレベルを保ちながらコウモリを解剖している姿をTVで見て”果たして私にできるか?その勇気を持っているか?そこまでウイルスを含め自然界を熟知しているか?…?”私の自問自答は深かったのでした。

自然の営みの中で偶然と必然がくり返されて今がある。それらの歴史から自然の摂理を学ぶことができる。ヒトは胎児や乳幼児の時期には免疫が未発達であり、母体の免疫力や母乳に含まれる抗体により、ある程度の抵抗力を備えているが、ヒトヘルペスウイルスのような誰もが潜在的に持っているウイルスが感染し、住みつくのである。

ヒトの身体には沢山の微生物が住んでいる。常在菌とか潜在性ウイルスとか呼ばれている。口の中にはフローラ達、腸の中には細菌叢、皮膚にも常在菌が居て守ってくれている。神経系にはヘルペス達が住んでいる。

彼等はヒトが健康である時には何ら警告を発しない。異常事態で歯肉炎とか口内炎、下痢とか帯状疱疹という症状が出現する。

「ちょっと!見直して下さい」「何かバランスが悪いですよ」「今の生活習慣はあなたを不健康にしますよ」

…そんなメッセージを送り続けてくれる。そして彼等はヒトが死ぬ時、共に死んでいく。(つづく)

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