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めまいの漢方:五苓散と苓桂朮甘湯

水毒によるめまい

気温・湿度とも上昇するこの時期、体内の水分の滞り「水毒」が起こりやすくなります。そのため、水毒によるめまいを訴える方を診る機会が増えます。漢方では、めまいに用いる処方はいくつかありますが、私がよく用いるのは次の2種類です。

五苓散と苓桂朮甘湯

私の経験では、めまいの漢方は五苓散がファーストチョイスです。次いで、苓桂朮甘湯を処方する場合も少なくありません。五苓散は桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、 白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)、猪苓(ちょれい)から構成されています。一方、苓桂朮甘湯は桂皮、茯苓、白朮、甘草(かんぞう)から成ります。 ※蒼朮が用いられる場合もあります

両方に共通して含まれる生薬が3種類あり、水毒を改善する点で似ていますが、それぞれの作用に違いもあります。

五苓散は水毒全般に作用

五苓散はめまいの他、頭痛、吐き気・下痢の消化器症状、浮腫など水毒からなる症状全般に広く用いられる処方です。

苓桂朮甘湯は「気の上衝」に用いる

一方、苓桂朮甘湯はめまい・頭痛の他、動悸や不安感などの精神症状にも用いられます。水毒に加え、「気」が上る(気の上衝)という、のぼせたような状態に適合します。

水毒を治すには飲水が前提

水毒によるめまいを起こした患者さんに伺うと、原因はたいてい飲水不十分です。たまたま忙しくて水を飲むのを忘れていたり、急に気温が上がって普段の飲水量では足りなかったりと、いつもと異なる状況が引き金になる場合もあります。改めて、飲水の重要性を強調したいと思います。

大澤

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