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熱中症を防ぐ水分の摂り方
新潟は6月下旬に過去最も早く梅雨明けを迎え、連日夏日が続いています。7月を通り越してもう8月のようなこの暑さ、毎日熱中症関連のニュースを見聞きします。
私が子どもの頃は扇風機とうちわ、夜は蚊帳(かや)を吊って窓を開けて寝るという、エアコン(空調設備)とは無縁の生活でしたが、今ではエアコンは健康を守るためにも欠かせないものとなりました。
診療所では先月末にエアコンの総取替え工事(修理部品の調達が困難となり)が行われ、静かで快適な環境で働かせて頂いています。
待合室のエアコン(取替え工事中と現在)
命にも関わってくる熱中症対策は、エアコン使用を含めた暑さを避ける工夫と、脱水の予防が基本です。脱水予防としてあちこちで言われているのが、“1日1.2Lの水分補給”と“水分と同時に塩分も”です。でも、この通りでいいでしょうか?人それぞれ体型も違えば、発汗の仕方も違います。心臓、腎疾患等で水分・塩分制限が必要な場合もあります。
診療所では普段から患者様に飲水指導をしていますが (生活習慣の改善)、熱中症対策としても同様で、“1日の飲水量は体重1㎏あたり30~40ml(体重50㎏で1.5~2L)、浄水器を通した水道水またはミネラルウォーターを、1回にコップ1杯程度まで、なるべく1口づつチビチビと” が基本です。
塩分に関しては、日本人の食塩摂取量は平均1日10g程度と多く(日本高血圧学会推奨 6.0g/日未満)、涼しい環境で発汗も少ない場合は、通常の食事から摂る塩分で十分だと思われます。ただし、高温環境下での作業や運動などで発汗が多い場合には、水分だけ摂ると低ナトリウム血症(倦怠感や頭痛、嘔気・嘔吐、筋痙攣、重症だと意識障害等の症状)を生じることがあるので、水分とともに塩分を補給する必要があります。水1Lに食塩1~2gを溶かしたドリンクや、塩飴やタブレット、梅干し(1個当たり食塩1~2g)等の活用をお勧めします。
ちなみに、熱中症対策として経口補水液やスポーツドリンクもよく勧められていますが、それぞれの特徴・効能を知った上での活用を。
経口補水液は、もともとは発展途上国での乳幼児の下痢や嘔吐による脱水の治療目的(特にコレラの治療)に開発されたもので、脱水症に対して水分や電解質の補給に適した組成となっています(1L当たり食塩約3g、糖分25g)。あくまでも脱水症や脱水を伴う熱中症になった場合の治療目的に使用するもので、日常的・予防的に使用するものではありません。
スポーツドリンクは、発汗多量でエネルギーを消耗するアスリート対策の飲み物で、経口補水液に比べて、塩分量が少なく糖分が多くなっています。
暑い夏がまだまだ続きそうですが、暑さ対策と水分摂取を心がけながら、元気に過ごしたいものです。
宮下
2022年7月11日