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果糖のデメリット(その2)
果糖のデメリット(その1)でお伝えしたように、丸山所長は果物や甘い菓子を殆ど摂りません。その訳は単に甘い物が嫌いなだけではなく、それらに含まれている果糖の悪影響を把握しているからなのです。
果糖の過剰摂取による健康被害
果糖は果物や蜂蜜に含まれている他、砂糖(果糖とブドウ糖が結合している)や異性化糖(果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖)にも多く含まれるため、過剰摂取が問題となっています。
果糖の過剰摂取による健康被害は数多く報告されており、肥満や糖尿病、高血圧、脂肪肝などの発症に関わっている他、糖尿病性腎臓病の増悪の一因であるとの報告1や、アルツハイマー病を引き起こす可能性も報告2されています。
果糖と脂肪肝、そしてフォアグラ
果糖と脂肪肝に関連してこんな話が。フォアグラは珍味として有名な食材で、ガチョウやアヒルに沢山の餌を与えることによって肝臓を肥大(=脂肪肝)させて作られます。歴史的には古代ローマ人が、ガチョウに果糖を豊富に含む干しイチジク(一説にはナツメヤシ=デーツ)を与えて飼育し、その肝臓を食べたのが始まりだとか。
果糖はがんの増殖を促進する
2024年12月ワシントン大学の研究チームより、果糖が間接的にがんの増殖を促進するという内容の論文3が発表されました。動物モデルでの研究で、果糖が肝臓で代謝される過程で、がん細胞の増殖を促進する脂質(LPC:リゾフォスファチジルコリン等)に変換されることが分かりました。米国でも過去数十年異性化糖による果糖の過剰摂取が問題となっており、時を同じくして50歳未満のがん発症が増加しているということです。
果糖はエネルギーを蓄え、ブドウ糖はエネルギーを産生する
果糖もブドウ糖も化学式はC6H12O6で同じ単糖類ですが立体構造が異なり、代謝のされ方が異なります。分かりやすく言うと、私達の身体を動かすエネルギーの材料が主にブドウ糖で、そのエネルギーを産み出す工場は、全ての細胞の中にあるミトコンドリアです。一方果糖は本来飢餓状態等に備えるための材料であり、主として肝臓で代謝され脂肪として身体に蓄えられます。ブドウ糖とは異なり、ミトコンドリアのエネルギーを産み出す機能を抑制します。
果糖は、クマなどの動物が冬眠前に果物等をたっぷり摂取して、脂肪を蓄えるための大事な栄養素なのです。
ところが現代の日本人は飢餓どころか飽食の時代に生きています。果糖を過剰に摂取すれば有り余った脂肪が肥満を始め様々な健康被害をもたらし、さらにミトコンドリアの機能低下によるエネルギー不足で疲労、免疫力の低下、老化の促進など更なる健康被害につながります。
エネルギー産生に重要なミトコンドリアですが、巷ではミトコンドリアの活性化をうたった高額なサプリメント(NMNや5-ALAなど。一月分数十万円するような物も!!)が売られています。
サプリメントで補うより先に、果糖摂取(特に砂糖や異性化糖)を控えることをお勧めします。
<参考>
- 糖尿病性腎臓病の進展に関わる新しいメカニズムを解明!~2つのフルクトース代謝酵素の異なる役割~ 名古屋大学 Press Release (2018年4月25日)
- Richard J. Johnson.et al: Cerebral Fructose Metabolism as a Potential Mechanism Driving Alzheimer’s Disease. Frontiers in Aging Neuroscience. 12:2020
- Ronald Fowle-Grider.et al: Dietary fructose enhances tumour growth indirectly via interorgan lipid transfer. Nature.636;737-744:2024
- 神様の贈り物 ミトコンドリア活性で老い知らず 発行所:ニュートリエントライブラリー(2022年4月発行)
- R. J. Johnson.et al: Fructose metabolism as a common evolutionary pathway of survival associated with climate change, food shortage and droughts.Journal of internal Medicine.287;221-338:2020
宮下
2025年1月22日