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PFAS対策に浄水器を

「PFASって何ですか?」

夏本番の8月に入りましたが、すでに猛暑日が続いており、熱中症対策として水分補給が重要です。当院では普段から治療の一環として患者様に飲水指導をしていますが(→生活習慣改善)、自宅に浄水器がない場合、簡便なポット型の浄水器の使用をお勧めしています。浄水器には、水道水に含まれる残留塩素やトリハロメタン等の物質を除去する効能があります。先日、水道水をそのまま飲んでいるという新患の方へ浄水器を勧めた際、「今問題になっているPFAS除去対策もできますよ。」と言ったところ、「PFASって何ですか?」。
最近PFASに関連するニュースが増えていると感じていましたが、まだまだ周知されていないかもしれません。

浄水器

PFASとは

PFAS(Per-and polyFluoroalkyl Substances)はペル/ポリフルオロアルキル化合物の略称で「ピーファス」と呼ばれ、炭素とフッ素が結合した有機フッ素化合物です。分解されにくく蓄積しやすいため、「永遠の化学物質」 とも呼ばれています。軍事基地や空港などで使用される泡消化剤や半導体などの工業製品の他、日用品や衣類の撥水・撥油加工などに使用されています。
PFASは1万種類以上あるとされ、使用量が多く代表的なものがPFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)です。

PFASの人体への影響

テフロンという商品名で有名な米国の化学メーカー(デュポン社)がPFOAを40年間垂れ流しにしたことにより、周辺住民に健康被害が生じた問題が過去にあります。この時の健康調査でPFOAとの関連性が報告された疾患が、コレステロール値の上昇、腎臓癌、精巣癌、潰瘍性大腸炎、妊娠高血圧症候群、甲状腺疾患です。

PFASの規制

残留性有機物汚染物質に関する国際条約(POPs条約)により、PFASの内のPFOS、PFOA、PFHxSの製造・輸出入・使用が原則禁止となっており、つい先日LC-PFCAが追加されました。日本では2010年にPFOSが、2021年にPFOAの製造・輸入が禁止されています。しかしPFAS製造工場や軍事基地などから廃棄・排出されたPFASが長く環境中に残り、地下水や河川からの水道水を通じて、私達の体内に取り込まれる可能性があるのです。実際、2023年度に実施された全国の河川や地下水の水質測定の結果、約2000地点の1割以上でPFASの暫定指針値(PFOSとPFOAの合計50ng/L)を超えていました。

水道水のPFAS

日本では水道水のPFASについて、2020年にPFOSとPFOAの合計で50ng/Lを暫定目標値として設定しました。2026年4月からは、水道法上の「水質基準」の対象となり、定期的な水質検査が義務づけられ、基準値を超えた場合は水質改善が求められます。ちなみに米国が2024年4月に決定した基準値はPFOS、PFOAそれぞれ4ng/Lです。

PFAS対策としての浄水器

水道水からのPFAS対策として浄水器の使用が勧められています。一般社団法人浄水器協会が2023年にPFAS(PFOSとPFOA)除去性能試験の規格を追加しており、除去率80%以上を除去性能ありと判断しています。

診療所のある新潟県及び新潟市は今までの所、河川や地下水、水道水のPFASの基準値超えはありませんが、患者様に飲水指導している立場として、今後もPFAS問題に注意していきたいと思います。

参考

宮下

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