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急な症状を緩和する漢方

漢方の効果はゆっくりと現れるイメージがあると思いますが、実は単純な組み合わせの処方に即効性を示すものがあります。

漢方処方中の生薬の数

漢方薬は複数の生薬を組み合わせて構成されますが、組み合わせ数は様々です。当診療所の処方では2種類から18種類と幅があります。
処方が考案された年代が古い方が生薬の数(薬味といいます)が少なく、後年の方が数が多い傾向にあります。

人間の生活や病気の変化に対して、従来の処方で対応が難しくなり、先人が工夫を重ねた結果と思われます。
では、生薬の多少で違いがあるのでしょうか?
一般に、生薬の数が少ない程、症状改善が速やかで、生薬の数が多い程、体質改善の効果に重きが置かれる傾向があります。

甘草は急な症状を緩和する

例として、甘草を含む2種類の生薬でできた処方を挙げます。
甘草は急迫を治すといわれ、急な症状を緩和する働きがあります。

生薬「甘草」甘草

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

芍薬と甘草の2種類からなる処方です。こむら返りの薬としてご存じの方も多いかもしれません。
筋肉の痙攣時に服用するとその場で痙攣がおさまることもしばしばです。
エキス剤をポケットに入れて登山やゴルフ中のこむら返りに備える方もいます。

桔梗湯(ききょうとう)

桔梗と甘草の2種類からなる処方です。咽の痛みに即効性があります。市販薬でこの処方をトローチにした製剤が販売されています。
また、市販薬で咽の症状の薬として販売される中に、成分として桔梗と甘草が含まれているものをよく見かけます。

副作用に注意

これらの処方は即効性があるものの、原因を解決するものではないことに注意が必要です。
また甘草は多量に摂ると低カリウム血症や血圧上昇、浮腫などの副作用が出現しやすくなるので、使用は頓服・短期間が原則です

当診療所は体質改善を目的に漢方を処方することが多いのですが、急な症状が出現した場合は漢方処方を変更して対応しています。

大澤

2024年12月30日

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